東京地方裁判所 昭和55年(ワ)3052号 判決
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【判旨】
被告十全の代表取締役国枝甚悦、取締役早川一三、同吉村幸次郎が、被告京都十全の代表取締役吉村幸次郎、取締役早川一三、同国枝甚悦となつたことは当事者間に争いがない。
<証拠>によると、原告は、昭和五四年四月から同年一二月までの間、被告十全に対し、唯一の大口債権者として前記債権の取立について任意な交渉をつづけ、同年九月に被告十全から商品の譲渡担保の設定及び売掛債権譲渡の予約を受けたうえ、債権の具体的な支払方法を検討していたが行き詰まり、同年一二月に入つてからは、その取立について強制的な方法をとることもある旨を示唆したこと、被告十全は、同年一二月二一日に、被告十全京都支店を本店とし、その営業資産と従業員を流用して、その営業目的を同じくする前記役員構成の被告京都十全を設立し、被告十全の取引先に以後被告京都十全がその営業を引き継ぐ旨の通知をなしてこれを承継したが、原告にはその旨の通知をしなかつたこと、昭和五三年三月に原告が、前記債権保全のため被告十全の動産に仮差押をなしたが、被告十全名古屋本店で僅か金五一万円相当の物件になしえたにとどまり、被告十全京都支店では被告京都十全の看板が出ており、その資産は被告京都十全の占有下にあるとして執行不能となつたことを認めることができ、これを覆えするに足りる証拠はない。
以上の認定事実によると、京都十全の設立は、被告十全の債務の免脱を目的として実質上同一の会社を形式上別人格とした会社制度の濫用の場合にあたるから、信義則上、被告京都十全は、原告に対し、被告十全と別人格であることは主張できず、その結果、被告十全の負担とする金二億八六三四万五〇六五円の支払義務と同一の責任を負うべきである。
(大淵武男)